ご挨拶

この度、第10回日本腎臓リハビリテーション学会学術集会を2020年2月22日(土)・23日(日)の2日間、東京・新宿のベルサール新宿グランドに於いて開催することとなりました。今回の学術集会は「多職種による腎リハで患者に希望と幸せを」をメインテーマとしました。医療の進歩により、着実に日本人の平均寿命が延びています。その結果として、透析を含む慢性腎臓病(CKD)患者も長寿となり、その総数が増えると同時に患者の高齢化も進んでいます。さらに、高齢になってからの新規発症も増えています。

透析患者の生命予後は医学の進歩にも関わらず大きな改善は認めないのが現状ですが、これには高齢化が大きな要因となっていることは間違いありません。一方で、単に年齢が高いだけでなく、フレイルが増加していることも大きな要因となっていることが明らかになりつつあります。もっと大事なこととして、健康寿命が延びていないことに繋がっています。つまり、医学の進歩や医師の努力だけではCKD患者の生命予後のみならず健康寿命を延ばすことは難しい時代になっており、多職種の総力でフレイルの予防や対応に注力する必要性が高くなっています。

リハビリテーションとは患者の身体機能を向上させるだけでなく、身体的および精神的な健康の回復・維持、ひいては社会復帰を果たし、再び人間らしく生きてもらうことを意味しています。医師だけでも、理学療法士だけでもなく、作業療法士・看護師・栄養士・薬剤師・臨床工学技士・臨床心理士・社会福祉士など、文字通り多職種が協同しないと成立しない医療です。

日本腎臓リハビリテーション学会は、CKD領域におけるリハビリテーションの普及に努めるだけでなく、常に患者に還元できる医学・医療的進歩を目指すアカデミアの役割も担っています。本年は診療ガイドラインも作成する成熟した学術団体にもなりました。

第10回学術集会ではより多くの医師・コメディカルに参加して頂き、その叡智を結集することで、腎臓領域におけるリハビリテーションの普及、職種横断的な学術交流、研究成果の医療者・患者・社会への還元の場、などの役割を担いたいと考えています。

多くの方のご参加を心よりお待ちしております。

第10回日本腎臓リハビリテーション学会学術集会
会長 柴垣 有吾
聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科教授