Greeting

会長挨拶


このたび、第6回国際臨床医学会学術集会を、2021年12月11日(土)に、私ども国立研究開発法人国立国際医療研究センター(NCGM)で開催させていただくことになりました。昨年度の第5回の学術集会は、中田研会長(大阪大学)のもと「グローバルヘルス合同大会2020」の枠組みの中で成功裏に開催され、その会長のバトンを受け継ぎましたが、会員の皆様は、この半年間の国際臨床医学の領域のダイナミックな変化をどれだけ予想できましたでしょうか? 

たとえば、昨年の学術集会開催時は(2020年11月1日)、日本国内では所謂コロナ流行第2波の収束に成功し、SARS-CoV-2感染者総数は101,327人、COVID-19死亡者総数は1,769人、1日の感染者数は616人でした。ところがその後、流行の第3波、第4波を私たちは経験し、1日の感染者数がそれぞれ8,000人近く報告され、現在ピークアウトの傾向は見えているものの、感染者総数は770,357人、死亡者総数は13,872人を数え、1日の感染者数は2,000人で推移しています(2021年6月11日現在)。

一方、コロナの医療においては様々な研究開発が進み、特にmRNAワクチンという新しいワクチン開発に世界は成功し、その開発から承認に至る速度、流通の速度、そして極めて高い防御能に次々と驚きを感じてきました。我が国でも現在、全国民へのワクチン投与体制も整い始め、感染制御に向けた新たな水平線が見え始めています。今年の本学術集会までには大多数の国民へのワクチン接種が終了し、流行収束にさらに近づいていることを願いたいと思います。

私たちの学会は、「国際臨床医学をより学術的な面から追求していくこと、その活動を通じて国民にとって有益な医療の発展を目指すこと及びその成果を広く社会への普及に努め、その医療を担う人材を育成し、国内外の本分野の医療・研究の指導的な役割を果たすこと」を目的に活動を続けています。そのために、今年の学術集会では、昨年の合同大会の4大会長名で策定し、広く社会にアピールされた「グローバルヘルス大阪宣言2020」の7つの重点項目(1. 国際協力の推進、2. 「だれひとり取り残されない」対策への配慮、3. 感染症対策、4. 非感染症疾患対策、5. 国境を越える人々への医療、6. PHCとUHCへの取り組み、7. グローバルヘルス教育)が、1年間でどのように学会の中で生かされ、学際的に展開されているか検証し、本学会のcommitment(覚悟)を確認します。学術集会開催時には、そのテーマである「ポストコロナへ7つの約束」が、現実味を帯びて果たされていることを祈りつつ・・・。

國土 典宏
第6回国際臨床医学会学術集会、会長
(NCGM理事長)